
はじめに
こんにちは、【kanatoの資産構築研究所】のKanatoです。
「保険は資産形成の敵だ」という言葉を、投資を学び始めると一度は耳にします。そのたびに思い出すのは、自分が保険に加入した場面のことです。
正直に言うと、当時はあまりよく考えていませんでした。会社に入ってすぐに母親に勧められるままに医療保険に、結婚後にFPと妻に勧められるまま生命保険に、「まあ大丈夫だろう」と思い、加入しました。合計の月額保険料は18,800円。なんとなく「必要なもの」と思いながら、何年も払い続けています。
今回は、私自身の加入状況を公開しながら、保険の基本と「資産形成における保険の立ち位置」を整理してみます。保険の見直しを検討している方にも、これから加入を考えている方にも、参考にしていただければ幸いです。
1. 保険の基本——掛け捨てと貯蓄型の違い
①掛け捨て保険——リスクヘッジに特化した設計
掛け捨て保険は、保険事故(死亡・入院など)が発生しなければ満期時に何も戻ってこないタイプです。代表的なのは定期保険や医療保険の掛け捨てタイプです。
最大のメリットは保険料の割安さです。同額の保障を貯蓄型で確保しようとすると、保険料は数倍になるケースが多い。「純粋にリスクに備える」という用途では、資金効率の面で掛け捨てが優れています。
「何も起きなければ払い損」という感覚が掛け捨ての心理的ハードルになりますが、「起きなくてよかった」こそが保険の本質と考えれば、それは正しい使い方とも言えます。
②貯蓄型保険——返戻金の仕組みと注意点
貯蓄型保険(終身保険・個人年金等)は、保険料の一部が積み立てられ、解約返戻金や満期保険金として戻ってくる仕組みです。
注意点は大きく2つあります。1つ目は、払込期間中の解約返戻金が払込総額を大きく下回ること。特に低解約返戻金型は、払込期間中の返戻率が払込総額の70%前後に抑えられているのが一般的です。2つ目は、返戻率が名目ベースである点です。インフレが続く局面では、名目上の返戻率が100%を超えていても、実質的なお金の価値は目減りしている可能性があります。「元本が戻ってくる安心感」の裏にあるコストと時間軸を、事前に理解しておくことが大切です。
2. 実数で見る返戻率——長割り終身の場合
私が加入している生命保険は、長割り終身(5年ごと利差配当付低解約返戻金型終身保険)です。死亡・高度障害保険金額1,000万円、払込期間は65歳まで(2045年5月)、月額保険料は15,590円(主契約14,640円+特約950円)です。
保険会社から提供されたシミュレーション表をもとに、主要な時点の数値を整理します。
| 時点 | 払込累計(概算) | 解約返戻金(概算) | 返戻率 |
|---|---|---|---|
| 現在(2026年5月) | 約318万円 | 約233万円 | 73.4% |
| 払込終了時(2045年5月) | 約673万円 | 約560万円 | 83.1% |
| 払込完了翌年(2046年5月) | 約673万円 | 約800万円 | 118.8% |
| 長期保有ピーク(2079年5月) | 約673万円 | 約981万円 | 145.6% |
(※保険会社提供のシミュレーション表より。払込累計は月額保険料×経過月数の概算値。実際の返戻金は配当状況によって変動する場合があります)
払込完了の翌年に返戻率が一気に上昇する構造は、「低解約返戻金型」特有の設計です。払込期間中の返戻率を低く抑えることで保険料を割安にし、払込完了後に本来の水準へ引き上げる仕組みです。長く保有するほど返戻率は上がりますが、判断の前提として「インフレ調整後の実質価値」を意識することが重要です。

補足いたします。返戻率145.6%という数値はインフレ調整前の名目ベースです。仮に年率2%のインフレが2079年まで53年間続いた場合、981万円の実質購買力は現在の約343万円相当になるという試算があります。また、解約返戻金には条件次第で一時所得として課税される場合がある点も留意が必要です。グロスの返戻率だけで判断するには注意が必要です、事実として。
3. 私の加入状況と、今だから思うこと
現在の私の加入状況をまとめます。
〈生命保険〉長割り終身(5年ごと利差配当付低解約返戻金型終身保険)
保険金額:1,000万円 / 月額保険料:15,590円(主契約14,640円+特約950円) / 払込期間:65歳まで(2045年5月) / 保険期間:終身
〈医療保険〉医療保険EVER(アフラック・会社団体加入)
月額保険料:3,210円(終身払) / 疾病・災害入院給付金:各1万円/日 / 手術給付金:10万〜40万円(手術の種別による) / 特別条件特則(特定部位不担保)あり
合計月額保険料:18,800円(年間約225,600円)
医療保険は会社の団体扱いで加入しており、一般的に団体割引が適用されています。退職後は個別料率(通常料率)への切り替えが必要となる場合があるため、保険料は変更になる可能性があります。退職時には保険会社への事前確認を忘れないようにしたいと思っています。
振り返ると、当時の私は保険の比較をほとんどしていませんでした。母親やFPと妻に勧められるまま加入し、「掛け捨てとどちらが合理的か」を真剣に検討していませんでした。
今の知識があれば、死亡保障は割安な掛け捨て定期保険で確保し、差額をインデックス投資に回す選択もあり得ました。資金効率だけで見れば、そちらの方が良かった可能性はあります。
ただし、当時の状況と知識レベルでの判断を今から否定するつもりはありません。保険に加入したこと自体が問題だったのではなく、比較検討をしなかったことが課題だったと整理しています。
4. 保険の本質と必要保障額の考え方

ホー、kanato理事長!保険の本質を一言で表すなら、「起きてほしくないことが起きたときのお金の備え」ですぞ。資産形成のツールではないですな。掛け捨てで保障だけを確保し、差額を投資に回す考え方は、長期の資産形成においては合理性がありますぞ。ただし、保険そのものが不要ということではありません。リスクの大きさに見合った保障を、適切なコストで確保すること——それが保険の正しい使い方ですぞ!
では、必要保障額はどう考えればよいのでしょうか。
死亡保障の考え方はシンプルです。「自分が亡くなった場合、残された家族が生活に困らない最低限の額はいくらか」が出発点になります。以下の要素の合算から算出します。
・遺族の生活費の不足額(必要な生活費から公的年金・配偶者収入を差し引いた分) / ・住居費(ローン残高や家賃など) / ・子どもの教育費 / ・葬儀費用(目安:100万〜300万円)
これらから既存の貯蓄を差し引いたものが、保険でカバーすべき不足額です。子どもの独立や資産の積み上がりとともに、必要保障額は減っていくのが一般的です。加入したままの保険が「過剰な保障」になっていないか、定期的な見直しが欠かせません。
医療保険については、公的制度「高額療養費制度」の活用が前提です。月額の医療費自己負担が一定額を超えた場合に還付されるこの制度を踏まえると、民間医療保険の主な役割は「差額ベッド代・食事代・収入減少リスクの補完」に絞られてきます。まずは公的制度を把握した上で、民間保険の必要性を検討することが合理的です。
おわりに
今回は、保険の基本と私自身の加入状況を振り返りました。
「保険は資産形成の敵」という表現は少し大げさかもしれませんが、保険を貯蓄の代わりとして使うことには一定の非効率があることは確かです。特に若いうちは、「保障は最低限の掛け捨てで確保し、余剰資金を投資へ」という方針がシンプルで合理的な選択肢になり得ます。
大切なのは「なんとなく入ったまま」を避けること。自分のライフステージと資産状況に合わせて、定期的に保障内容と保険料を見直す習慣が重要です。今回の記事が、そのきっかけの一つになれば幸いです。
それでは、良い資産構築ライフを!


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