はじめに
こんにちは、【kanatoの資産構築研究所】のKanatoです。
今月の日本株ポートフォリオは、前回記事(2026年5月)から−9.2%。数字だけを見れば、思わず身構えたくなる下げ幅です。ですが、結論から先にお伝えします。この−9.2%のうち、約88万円は「損失」ではありません。
正体は、長期保有していた1銘柄がTOB(株式公開買付け)によって上場廃止になったことに伴う、帳簿上の除外です。売ったわけでも、値下がりで消えたわけでもない。むしろ、後日まとまった現金が戻ってくる話です。今回は、この「見出しの数字」と「中身」のズレを丁寧に分解し、あわせて前回注視すると書いた3銘柄の答え合わせもしていきます。なお評価額は2026年6月27日時点の概算、騰落は5月30日からの変化として記載します。
1. まず全体像――6月の日本株ポートフォリオ
6月末(6月27日時点)の日本株口座の概算評価額は、口座内の現金を含めて約968万6,381円でした。前回記事(5月末・約1,066万9,983円)と比べると約98万4,000円の減少(−9.2%)です。年初来では−4.2%になります。
この1か月で、私が日本株を買い増したり売ったりは一切していません(当月の追加資金はゼロ)。にもかかわらず−9.2%。ここには、性質のまったく違う3つの増減が混ざっています。
| 内訳 | 概算 | 中身 |
|---|---|---|
| ① あるTOB銘柄の帳簿除外 | 約−88万円 | 売却でも値下がりでもない(後述) |
| ② 保有株の値動き(①と現金を除く) | 約−16万円(約−1.6%) | 銀行高・商社/輸出/防衛安 |
| ③ 口座内現金の増加(配当入金など) | 約+6万円 | 期末配当の受け取り分 |
つまり、「市場で実際に下げた」のは約−1.6%にすぎません。残りの大半は、次の章で説明する帳簿の付け替えです。

監査官として一点。ここでの「評価額」はあくまで概算であり、売却して初めて手元に残る実売収益とは別物です。プラスもマイナスも「含み」の話で、税金や手数料を引く前の数字でもありません。そして見出しの騰落率は、何を分母にし、何を含めるかで印象が大きく変わります。「−9.2%」を一つの塊として飲み込まず、必ず中身に分解して読む――これが今月いちばんお伝えしたい作法です。
2. 「−9.2%」の正体――エイジスのTOB上場廃止
では、約88万円が消えた(ように見える)中身です。銘柄はエイジス(4659)。長期保有していた警備・監査業の会社です。
このエイジスに対し、創業家の資産管理会社である斉藤ホールディングスがTOB(株式公開買付け)を実施しました。買付価格は1株4,450円。応募期間は2026年2月20日から4月6日で、TOBは成立し、エイジスは2026年6月19日に東証スタンダード市場で上場廃止となりました。
ここが今回の肝です。私の口座で残高が0円になったのは、株を売ったからではありません。 上場廃止によって市場での取引が終わり、株価を取得できなくなったため、証券口座の評価額として「帳簿から外れた」だけです。TOBに応募しなかった株式は、上場廃止後にスクイーズアウト(少数株主からの強制取得)の対象となり、TOBと同じ1株4,450円が後日、現金で交付されます(実際の入金までは数か月かかる見込みです)。
保有は200株でしたので、交付見込み額は 4,450円 × 200株 = 約89万円。しかもこの4,450円は、年初の帳簿価格(1株2,960円相当)の約1.5倍にあたります。長期保有していた銘柄が、公開買付けのプレミアムという形で報われた――そう整理できる出来事でした。
実は同じことが、5月に残高ゼロになった農業総合研究所(3541)でも起きています。こちらはSOMPO系列によるTOB(1株767円)が成立して5月に上場廃止となったもので、やはり売却は一切していません。証券会社ごとに帳簿への反映タイミングがずれたため、4月に評価額が半分になったように見えましたが、これも売却ではなく処理の時間差でした。全141株で、交付見込みは約10.8万円です。

監査官として、ここは強調させてください。TOBによる上場廃止での残高ゼロは、「損失」ではありません、事実として。 帳簿からの除外と、値下がりによる損失は、家計簿上まったく意味が違います。前者は「評価額が現金の受け取り権利に姿を変えた」だけで、純資産への実際の影響は、交付価格と直前の帳簿値の差分に限られます。入金を確認したときも、「利益が出た」ではなく「評価額を現金に振り替えた」と記帳するのが正確です。数字の見た目に引きずられず、事実の性質で仕分ける。これが監査の役目です。
3. 市場要因の中身――銀行は続伸、輸出・防衛は調整
TOBの帳簿除外を除くと、実際の値動きは約−1.6%。中身は先月と同じ構図の続きでした。
- 上昇したのは銀行・金融。三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループのメガバンクが揃って続伸し、いよぎんホールディングスやリクルートホールディングスも堅調でした。
- 下落したのは商社・輸出・資源。伊藤忠商事(約−5.1万円)、三井物産、トヨタ自動車、ファナック、信越化学工業などが調整。円高・通商環境への警戒が重しになりました。
- 防衛関連株は2か月連続の全面安。FFRIセキュリティ、日本アビオニクス、豊和工業、三菱重工業などが揃って下げ、昨年来の急騰の反動が続いています。

ホー、kanato理事長。こうして分解すると、6月の日本株は「テーマ株がひと休みし、地味な金融株が支えた月」だと分かるのですな。銀行が強く、商社と防衛が調整する――派手さはありませんが、こういう月にポートフォリオ全体が大崩れしないのは、セクターが散らばっているおかげでしてな。一つの物語に賭けず、複数の業種に配っておく。地味ですが、これが効くのですぞ。
4. 先月の答え合わせ――注視していた3銘柄のその後
前回記事の終わりに、私は来月の注視点として「三井住友FG」「三菱HCキャピタル」「ホンダ」の3つを挙げていました。その答え合わせです。
| 銘柄 | コード | 株価(6/27) | 概算評価額 | 前月比 | 含み損益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 三井住友FG | 8316 | 6,391円 | 約357,896円 | +9.83% | +241,519円(+207.5%) |
| 三菱HCキャピタル | 8593 | 1,309円 | 約130,900円 | +0.58% | +41,988円(+47.2%) |
| ホンダ | 7267 | 1,449.5円 | 約100,016円 | −0.21% | +1,552円(+1.6%) |
- 三井住友FG:前回「逆行高」と書いたその後も上昇が続き、含み益率は+180%台から+207.5%へ。「金利のある世界でメガバンクの収益環境が改善する」という3月来の仮説は、今のところ素直にワークしています。
- 三菱HCキャピタル:前回は−10.86%と調整していましたが、今月は+0.58%と下げ止まり。「慌てず月次で追う」という方針どおりの展開でした。
- ホンダ:前月比−0.21%とほぼ横ばい。関税ニュースで振れやすい銘柄なので「待ちの姿勢」としていましたが、累積の含み益も+1.6%とトントン圏で、この判断は妥当だったと言えます。
注視すると書いた3銘柄が、片や続伸・片や下げ止まり・片や横ばい。派手な当たりはありませんが、「挙げた着眼点そのもの」は今月も外していませんでした。
5. 6月のインカム――期末配当と「配当スノーボール」
6月は3月期決算銘柄の期末配当が集中する月です。今月受け取った国内株の配当は、全証券会社の合計で5万237円(税引後・57件)でした。
注目したいのは、この57件のうち36件がSBI証券の1株積立ポートフォリオだということです。1件あたりは数百円ですが、分散して少しずつ積み上げた株が、年に2回まとめて配当を運んでくる構造がよく見えました。配当の入金は年間を通じて3月・6月・9月・12月に山が来ます。
そのうえで、次の一手として温めているのが「通信」と「保険」の配当層を厚くする方針です。景気に左右されにくい通信(KDDI・NTT)や、減配しない方針を掲げる損害保険(東京海上ホールディングス)は、いずれも安定したインカムの担い手になります。これらはすでに保有していますが、1株積立で少しずつ買い増し、配当の「粒」を増やしていく――今月は追加の買付こそ見送りましたが、下半期の権利確定(9月)に向けた仕込みどころとして考えています。

補足いたします。配当を再投資して株数を増やせば、次の配当がさらに増える――この「配当スノーボール」は複利の一種ですが、雪だるまが回り始めるには時間がかかります。焦って高値づかみをしては本末転倒です。方針を決めることと、実際に買う金額・タイミングは別物として、淡々と積む。今月の追加買付がゼロだったことも、無理に動かなかったという意味で、一つの正しい判断です。
6. 来月以降の方針
現時点の注視点を、方針として書き留めておきます(売買の予告ではありません)。
- TOB対価の入金確認:エイジス(約89万円)と農業総合研究所(約10.8万円)の交付を待ちます。入金は「利益」ではなく現金への振替として扱い、受け取った資金は、値動きの大きい資産ではなく守りの層へ配分することを検討します。
- 配当スノーボール:通信・保険を中心に、1株積立で配当層を厚くします。
- 答え合わせの継続:三井住友FG(決算・配当方針)、三菱HCキャピタル(下げ止まりの持続)、ホンダ(引き続き待ち)を月次で追います。
おわりに
見出しの「−9.2%」は、分解すれば大半がTOBによる帳簿の付け替えで、市場で実際に下げたのは−1.6%程度でした。数字は、見出しだけを鵜呑みにすると景色を見誤ります。中身に分けて、性質ごとに仕分ける。地味な作業ですが、これこそが長期投資の土台になると考えています。

ホー、今月は「下げたように見えて、実は現金が戻ってくる月」でしたな。長く持っていた甲斐がある、良い報せでしてな。

一点だけ。「良い報せ」で締めるのは結構ですが、事実として現金が入るのは数か月先です。皮算用で使い道を決める前に、まず入金の確認を。

ホー、監査官に釘を刺されましたな。ではこう言い直しましょう――入金を確認してから、次の一手を考える。これでいきましょうぞ。
来月もまた、同じ目線で淡々と答え合わせを続けていきます。
それでは、良い資産構築ライフを!


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