はじめに
こんにちは、【kanatoの資産構築研究所】のKanatoです。
2026年の制度改正をきっかけに、企業型DCのマッチング拠出を見直しました。私の勤務先制度では、次回以降の事業主掛金が約1.6万円。2026年8月時点で事業主掛金と加入者掛金の合計を月55,000円まで拠出できる前提だったため、加入者掛金は約3.9万円まで増やせる計算になりました。
結論から書くと、私は上限まで使う方向で手続きを進めました。ただし「マッチング拠出はMAXが正解」と言いたいわけではありません。税制メリットは大きい一方で、確定拠出年金は原則60歳以降に受け取る制度だからです。

ホー、kanato理事長!制度が有利かどうかと、自分が上限まで使うべきかは別の話ですな。今回は、その判断をどう分けたのかが大事ですぞ。
本記事は私自身のケーススタディです。勤務先の規約や他の企業年金の有無によって条件は変わります。制度の一般的な仕組みは、既存記事「確定拠出年金入門①」で整理しています。
1. 2026年の制度改正をきっかけにDCを見直した
2026年4月1日、企業型DCのマッチング拠出では、従来あった「加入者掛金は事業主掛金を超えてはならない」という制限が撤廃されました。厚生労働省は、事業主掛金の額に左右されず、加入者が拠出限度額の枠を活用できるようにする改正と説明しています。
この変更は、私にとって「掛金を増やせるか」だけでなく、長年運用してきた企業型DCを一度棚卸しするきっかけになりました。
なお、2026年12月1日には、企業型DCの拠出限度額そのものが引き上げられる予定です。厚生労働省の事務連絡(令和8年7月13日付)は、この日の施行により企業型DCの拠出限度額が月5.5万円から月6.2万円へ引き上がるとしています。ただし自動的に適用されるかは勤務先の規約次第で、規約が政令を引用していれば規約変更なしで引き上がる一方、規約に「5.5万円」と金額で書かれている場合は据え置きになります。この記事では、私が手続きを行った2026年8月時点の勤務先制度で確認した月55,000円を基準にしています。
制度の細かな仕組みを一から説明すると既存記事と重なるため、本記事では「制度改正後に私が何を確認し、どう判断したか」に絞ります。
2. 私のケースは事業主掛金+加入者掛金で月55,000円
次回以降の事業主掛金は月約1.6万円。勤務先制度で確認した合計上限を月55,000円として計算すると、加入者掛金は月約3.9万円です。
| 項目 | 月額 | 年換算(×12) |
|---|---|---|
| 事業主掛金 | 約1.6万円 | 約19万円 |
| 加入者掛金 | 約3.9万円 | 約47万円 |
| 合計(勤務先制度の上限) | 55,000円 | 660,000円 |
※掛金額は勤務先固有の情報のため、月額は概数で示しています。合計の月55,000円は勤務先の制度上の上限額です。
加入者掛金を同額で12か月続けた場合の年換算は約47万円です。毎月の給与から4万円弱をDCへ回すことになるため、税制メリットだけを見て決められる金額ではありません。
一方、企業型年金の加入者掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。国税庁によると、控除できる金額はその年に支払った掛金の全額です(令和7年4月1日現在法令等)。

私から一点。年約47万円は「税金が47万円減る」という意味ではありません。所得から控除される金額です。実際の税負担軽減額は、その人の課税所得や適用税率によって変わります。
ここは誤解しやすいところです。私は「同額を12か月続ければ約47万円が所得控除の対象になる」というメリットと、「同じだけの資金を老後資金として長期間使わない前提にする」という両面を並べて考えました。
3. MAXにする前に確認した4つのこと
3-1. 60歳まで使わなくてよいお金か
確定拠出年金の老齢給付金は、原則として60歳に到達した場合に受給できます。ただし60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が段階的に先延ばしになります。NISAのように必要なときに売却して生活資金へ戻せる口座とは、役割が違います。
そのため、マッチング拠出を増やす前に「この金額を長期間使わなくても家計が回るか」を先に確認しました。
制度上の上限まで拠出できることと、家計上の余裕があることは同じではありません。
3-2. DC外の流動性を確保できているか
私はDC以外でも資産形成を行っており、日常生活や近い将来の支出に使う資金をDCだけに依存していません。
これは今回MAXまで増やす判断をした大きな前提です。反対に、生活防衛資金が薄い状態であれば、所得控除があるからといってDCへの拠出を優先しすぎない方がよいと考えます。
3-3. 長期保有したい商品が勤務先DCにあるか
企業型DCでは、原則として勤務先が用意した商品ラインナップから選びます。
掛金を増やしても、長期保有したい商品が見つからなければ、資金拘束に見合う魅力は下がります。そこで今回は、掛金の増額と同時に商品一覧も確認しました。
この確認が、のちに既存の外国株式ファンドを低コスト商品へスイッチングする判断につながります。
3-4. 退職時の出口は別に確認する
DCは拠出時だけでなく、受取時の税制も重要です。退職一時金との関係などは既存の「確定拠出年金入門②」で整理しています。
今回は「掛金を増やすか」が主題なので出口の詳細には踏み込みませんが、所得控除だけで判断を完結させないようにしています。

長期の制度は、入口だけ有利でも判断できませんな。使える時期、運用商品、出口まで別々に確認してこそ、ようやく自分に合うか見えてくるのですぞ。
4. 私はMAXを選んだ。ただし誰にでも当てはまる答えではない
以上を確認した結果、私はマッチング拠出を上限まで利用する方向を選びました。
理由はシンプルで、今回増やす資金を老後まで使わない長期資金として扱えること、DC外にも流動性を残せること、そして勤務先のDCに長期保有できるインデックス商品があったからです。
反対に、次のような場合は上限まで入れる前に一度考えた方がよいでしょう。
- 近い将来に住宅、教育、車など大きな支出予定がある
- 生活防衛資金を十分に確保できていない
- DC以外に自由に引き出せる資産が少ない
- 勤務先DCの商品ラインナップを確認していない
- 退職金とDCの受取り方をまだ整理していない

制度上の上限と、自分にとって無理のない掛金は同じではありません。ここは分けて考えるべきです、事実として。
「所得控除があるからMAX」ではなく、「長期資金としてロックしても問題ないので、そのうえで所得控除を活用する」という順番にしたのが、私の判断です。
5. 掛金を増やすなら、これまでと同じ商品を買い続けるのか
マッチング拠出を増やす方針が決まった後、もう一つ問題が出ました。
月55,000円を、これまでと同じ比率・同じ商品に入れ続けてよいのか。
見直し前の企業型DCは概ね、
- 外国株式:約61%
- 日本株式:約23%
- 外国債券:約16%
- 国内債券:ごく少額
で、株式約84%・債券約16%という構成でした。いずれも見直し前の概数です。
株式中心の長期運用自体を否定するわけではありません。ただ、私の資産全体では債券を増やしている時期でもあり、DCの新規掛金もその方向を少し補完させたいと考えました。
最初は「増額分を国内債券100%にする」という案も検討しました。既存資産を売らずに債券比率を上げられるからです。
しかし、これは私には少し守りに寄りすぎていると感じました。今後も株式による成長を取り込みたいのに、新規掛金をすべて債券へ振ると、積立方針としては極端です。
そこで最終的に、新規掛金を外国株式60%・国内債券40%としました。
6. 最終設定は外国株式60%・国内債券40%
月55,000円を前提にすると、新しい運用割合は次のとおりです。
| 資産クラス | 割合 | 月額 |
|---|---|---|
| 外国株式 | 60% | 33,000円 |
| 国内債券 | 40% | 22,000円 |
ここで大切なのは、新規掛金を60:40にしたからといって、企業型DC全体がすぐ60:40になるわけではないことです。
すでに株式中心の残高があるため、今後の掛金で少しずつ債券の比率を増やしていく形になります。既存株を一度に売却して配分を変えるのではなく、新規資金を使った緩やかなリバランスです。
実際の設定では、
- 外国株式:02015 三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド 60%
- 国内債券:00164 三井住友・日本債券インデックス・ファンド 40%
に変更しました。
ただし、ここで「なぜ以前使っていた外国株式ファンドではなく02015なのか」という新しい論点が出てきます。
商品一覧を詳しく見直したところ、同じMSCIコクサイ系でも信託報酬が大きく違う商品が存在していたからです。
この商品棚卸しとスイッチングは、次回の記事で詳しく扱います。
7. 私のケースから一般化できるチェック順
マッチング拠出を増やすときは、「いくら節税できるか」だけを見るより、次の順番で確認する方が整理しやすいと感じました。
- 勤務先規約で、自分の拠出可能額を確認する
- その金額を原則60歳まで使わなくてもよいか確認する
- DC外の流動性資産とのバランスを見る
- 掛金を入れたい商品がラインナップにあるか確認する
- 増額後の運用割合も同時に見直す
マッチング拠出は税制上有利な仕組みですが、上限まで使うかどうかは家計と資産全体の問題です。
「制度の上限」ではなく、「長期資金として無理なく拠出できる上限」を先に決める。そのうえで税制メリットを活かす、という順番が私には合っていました。
8. FAQ
Q1. マッチング拠出は上限まで入れた方が得ですか?
加入者掛金は所得控除の対象なので税制面のメリットがありますが、原則60歳以降まで使わない資金になります。生活防衛資金や今後の支出予定まで含めて判断する必要があります。
Q2. 2026年4月の改正で何が変わりましたか?
マッチング拠出の加入者掛金について、「事業主掛金を超えてはならない」という制限が2026年4月1日に撤廃されました。実際の拠出可能額は勤務先の制度や他の企業年金の状況によって異なります。
Q3. 2026年12月から月62,000円まで必ず拠出できますか?
必ずではありません。厚生労働省の事務連絡(令和8年7月13日付)によると、2026年12月1日の施行で企業型DCの拠出限度額は月5.5万円から月6.2万円へ引き上がります。ただし規約の書き方で扱いが分かれ、規約が政令を引用していれば規約変更なしで引き上がりますが、規約に「5.5万円」と金額で書かれている場合は据え置きになります。他の企業年金がある場合は他制度掛金相当額も影響します。勤務先での案内を確認してください。
Q4. 12月に上限が上がったら、加入者掛金はすぐ増やせますか?
加入者掛金の額を変えられるのは、ふつう拠出単位期間につき1回だけです。ただし厚生労働省は、上限引き上げに伴う経過措置として、2026年12月1日から2027年11月30日までの間、事業主掛金と加入者掛金の合計が旧上限(月5.5万円)を超える額になるように加入者掛金を変える手続きを初めて行う場合は、この年1回の枠の例外にできるとしています。これは勤務先が規約に定めたときに使える措置なので、自分の勤務先で使えるかどうかは確かめてください。
Q5. 掛金を増やすときは、商品も見直した方がよいですか?
私は見直しました。長期間使っている企業型DCでは、その間に新しい低コスト商品が追加されていることがあります。今回も商品一覧を確認したことで、外国株式の低コスト化につながりました。
9. 参照文献・関連リンク
- 厚生労働省「2025年の制度改正」
- 厚生労働省「企業型確定拠出年金の拠出限度額引上げに係る事務の取扱いに関する参考資料の送付について(令和8年7月13日付け事務連絡)」
- 厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
- 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
- 関連記事:確定拠出年金入門①
- 関連記事:確定拠出年金入門②
- 関連記事:確定拠出年金入門③
おわりに
今回、マッチング拠出を上限まで増やす方向にしたことで、企業型DCを「掛金だけ」で見るのではなく、資産配分や商品までまとめて見直すことになりました。
私の場合は、月55,000円を外国株式60%・国内債券40%で積み立てる形に変更しました。ただ、ここで終わりではありませんでした。商品一覧を確認すると、これまで保有していた外国株式インデックスより、同じMSCIコクサイ系で信託報酬の低い商品が見つかったからです。
次回は、企業型DCの商品一覧をどう比較したのか、なぜ既存の外国株式をスイッチングし、外国債券と日本株は残したのかを、実際の判断過程とともに整理します。
それでは、良い資産構築ライフを!


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