はじめに
こんにちは、【kanatoの資産構築研究所】のKanatoです。
前回は、企業型DCのマッチング拠出を見直し、私のケースでは月55,000円まで拠出する方向にした経緯を紹介しました。
そこで次に確認したのが、「増やした掛金で、いままでと同じ商品を買い続けてよいのか」です。
企業型DCは一度設定すると、そのまま長期間運用しがちです。しかし勤務先の商品一覧を改めて確認すると、MSCIコクサイ系の外国株式インデックスに、既存保有商品より信託報酬の低い別の選択肢があることに気づきました。

ホー、kanato理事長!長期投資では「触りすぎない」ことも大切ですが、「一度決めた商品を永久に見直さない」とは違いますな。選択肢が増えていないか、ときどき棚卸しする価値はありますぞ。
今回は、私が実際の商品一覧をどう比較し、外国株式はスイッチングする一方、日本株と外国債券は売らなかったのかを整理します。商品選択やスイッチングの基本は既存記事「確定拠出年金入門③」で解説しているので、本記事はその一般論を実際の勤務先DCに当てはめたケーススタディです。
1. 商品名ではなく「資産クラス→指数→コスト」の順で見る
企業型DCの商品一覧には、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、バランス型、元本確保型など、性格の異なる商品が並んでいます。
ここで単純に「信託報酬が一番安い商品」を選ぶと、目的と違う資産を買うことになりかねません。
今回、私は次の順番で比較しました。
- その商品は何の資産へ投資するのか
- インデックス型なら、どの指数への連動を目指すのか
- 為替ヘッジの有無はどうか
- 同じ役割の商品が複数あるなら、コストを比較する
- 既存資産を売る必要があるのか、新規掛金だけ変えればよいのか
特に重要だったのは、「低コスト化」と「アセットアロケーション変更」を混同しないことでした。
外国株式の01141→02015は、いずれもMSCIコクサイ系の先進国株式インデックスを目指す商品間の乗り換えです。一方、外国債券を国内債券へ移すと、為替リスクを含めて資産の性格そのものが変わります。
この2つは、同じ「スイッチング」という操作でも意味が違います。
2. 外国株式で見つけた0.275%と0.09889%の差
見直し前に外国株式の中心として保有していたのは、
01141 DCダイワ外国株式インデックス
でした。
大和アセットマネジメントの2026年2月21日使用開始の交付目論見書では、外国株式に投資し、MSCIコクサイ指数(配当込み、円ベース)への連動を目指すインデックスファンドです。為替ヘッジは行わず、信託報酬は年0.275%(税抜0.25%)です。
一方、勤務先の商品一覧には、
02015 三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド
もありました。
三井住友DSアセットマネジメントの2026年2月27日使用開始の交付目論見書では、日本を除く世界の主要先進国株式へ投資し、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)への連動を目指します。原則として為替ヘッジは行わず、信託報酬は年0.09889%(税抜0.0899%)です。
| 商品 | 連動を目指す指数(目論見書の表記) | 為替ヘッジ | 信託報酬(税込) | 総経費率 |
|---|---|---|---|---|
| 01141 DCダイワ外国株式インデックス | MSCIコクサイ指数(配当込み、円ベース) | なし | 0.275% | 0.29% |
| 02015 三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 原則なし | 0.09889% | 0.13% |
信託報酬の差は年0.17611ポイントです。
信託報酬だけでなく、総経費率でも比べた
信託報酬は、ファンドを持っている間にかかる費用の一部でしかありません。実際には監査費用や売買委託手数料などもかかります。そこで、両ファンドの交付目論見書に参考情報として載っている総経費率も並べました。
この2本は、総経費率の対象期間がどちらも2024年12月3日〜2025年12月1日で一致しています。同じ期間どうしなので、実質的なコストを比べられます。
- 01141:総経費率 年0.29%
- 02015:総経費率 年0.13%
差は約0.16ポイント。信託報酬で見た差(0.17611ポイント)とほぼ同じ水準で、「信託報酬は安いけれど、その他の費用で逆転している」という関係ではありませんでした。
金額に置き換えると、外国株式の残高100万円あたり年1,600円の違いです。残高が大きくなるほど、差も比例して大きくなります。
なお、この総経費率には購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税は含まれていません。また、01141は交付目論見書の運用実績欄でベンチマークを「MSCIコクサイ指数(税引後配当込み、円ベース)」と記載しており、02015の「配当込み、円換算ベース」とは配当の扱いや円換算の方法まで完全に一致するわけではありません。したがって「まったく同じ商品を安くした」というより、同じ資産クラス・近いベンチマーク役割の低コスト化と捉えるのが正確です。
同じMSCIコクサイ系の外国株式コアとして使うのであれば、私の目的では02015の方がコスト面で有利でした。

私から確認します。比較のポイントは「0.09889%だから安い」だけではありません。投資対象とベンチマークが近いこと、そして総経費率の対象期間がそろっていることを確認したうえで差を評価できる点が重要です、事実として。
単に一番安いファンドへ飛びつくのではなく、同じ仕事をしている商品同士で、そろえた条件で費用を比較する。今回の外国株式では、この比較が成立しました。
3. 02261のS&P500も低コストだったが、今回は選ばなかった
商品一覧には、
02261 iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(DC)
もありました。
2026年8月1日に届出の効力が生じた交付目論見書では、S&P500指数(配当込み、円換算ベース)への連動を目指し、原則として為替ヘッジを行いません。ファンド本体の信託報酬と投資先ETFの報酬を合わせた実質的な運用管理費用は、年0.1136%程度(税抜0.1060%程度)とされています。
コストだけなら十分魅力的です。
同じ目論見書の参考情報では、総経費率は年0.12%とされています。ただしその対象期間は2025年5月3日〜2026年5月7日で、01141・02015の対象期間(2024年12月3日〜2025年12月1日)とは異なります。3本を総経費率で横並びに比べることはできません。
いずれにせよ、02015と02261は「安い外国株式ファンド同士」というだけで、投資対象は同じではありません。
- 02015:日本を除く主要先進国株式
- 02261:米国のS&P500採用銘柄
私の場合、DC外でも米国株式への投資を行っているため、企業型DCのコアまで米国100%へ寄せる積極的な理由はないと考えました。
そこで、新規掛金の外国株式60%枠は02015を選びました。
これは「MSCIコクサイの方がS&P500より優れている」という話ではありません。また、コストの優劣で決めたわけでもありません。DCだけでなく、自分がすでに持っている資産との重なりまで見て決めたという私のケースです。
4. 新規買付だけでなく、既存01141も02015へスイッチング
次に考えたのは、既存の01141をどうするかです。
新規掛金だけ02015へ変えて、01141はそのまま残す方法もあります。しかし今回は、01141と02015がどちらも日本を除く主要先進国株式を対象としたMSCIコクサイ系で、私のポートフォリオ内で担う役割がほぼ同じでした。
そこで私は、
01141 DCダイワ外国株式インデックス
→ 02015 三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド
へ、既存残高もスイッチングしました。
この判断では、投資方針を変えるというより、同じ外国株式コアのコストを下げることを重視しています。
2026年8月11日にNRKの画面から、売却商品01141・購入商品02015としてスイッチングを申し込み、その後約定しています。

同じ役割を担う商品へ乗り換えるなら、これは「相場観で株を売った」という話ではないのですな。長期で持つ器を整理した、と考える方が近いですぞ。
5. 債券は「もっと安い方へ全部移す」とはしなかった
外国株式で低コスト化できたため、債券も同じように確認しました。
私の勤務先DCで使っていた主な債券インデックスは次の2本です。
国内債券:00164 三井住友・日本債券インデックス・ファンド
NOMURA-BPI(総合)への連動を目指す国内債券インデックスです。2026年3月18日使用開始の交付目論見書では、信託報酬は年0.176%(税抜0.16%)、総経費率は年0.18%(対象期間2024年6月21日〜2025年6月20日)です。
外国債券:00711 DCダイワ外国債券インデックス
FTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)への連動を目指す外国債券インデックスです。2026年2月21日使用開始の交付目論見書では、信託報酬は年0.253%(税抜0.23%)、総経費率は年0.27%(対象期間2024年12月3日〜2025年12月1日)です。
コストだけを見れば00164の方が低いですが、これは比較の仕方が違います。
00711は外国債券で為替変動の影響も受けます。00164は国内債券です。
つまり00711→00164へスイッチングすると、単なる低コスト化ではなく、
外国債券 → 国内債券
というアセットアロケーション変更になります。
そこで私は、00711の既存残高はそのまま残しました。一方、今後の新規掛金は0%とし、新しい債券積立は00164へ回します。
これなら既存の外国債券を無理に売らず、今後の資金で国内債券を増やせます。
6. 日本株も「売らない・新規0%」を選んだ
日本株の中心は、
01366 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
でした。
三井住友DSアセットマネジメントのマンスリー・レポート(2026年7月31日基準)では、TOPIX(東証株価指数、配当込み)への連動を目指すインデックスファンドで、信託報酬は年0.176%(税抜0.16%)です。今回の商品一覧では、外国株式の01141→02015のように、同じ役割で明確に大幅な低コスト化ができる代替商品は確認できませんでした。
そのため、日本株も既存残高は売却していません。
ただし、見直し前のDCでは日本株が2割強を占めていたため、今後の新規掛金は0%としました。
この方法なら、日本株を売却して比率を一気に下げなくても、新しい掛金が外国株式と国内債券へ積み上がるにつれて、相対的な比率は徐々に下がります。
企業型DCの見直しでは、「持っているものを全部最適化し直す」必要はないと感じました。
変える理由が明確なものだけ変え、役割が違うものは既存分を残す。この方が、何のためにスイッチングしたのかを自分でも追いやすくなります。
7. 最終的な企業型DCの設定
今回の見直し後、今後の掛金は次の配分にしました。
| 商品 | 新規掛金割合 | 方針 |
|---|---|---|
| 02015 三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド | 60% | 新規積立+01141からスイッチ |
| 00164 三井住友・日本債券インデックス・ファンド | 40% | 新規積立 |
| 01366 日本株インデックス | 0% | 既存分を保有 |
| 00711 外国債券インデックス | 0% | 既存分を保有 |
月55,000円を拠出する場合は、
- 02015:33,000円/月
- 00164:22,000円/月
となります。
ここで目指したのは「最高のファンドを当てること」ではありません。
- 外国株式は、同じ役割なら低コストな方へ整理する
- 国内債券は、新規掛金で積み増す
- 外国債券と日本株は、売る理由が弱いので既存分を残す
という、変更理由を明確にしたことがポイントです。
8. 一般化すると、DC商品はこの5段階で確認しやすい
今回の経験から、勤務先DCの商品一覧を見直すなら次の順番が使いやすいと感じました。
1. 資産クラスを確認する
国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、元本確保型など、まず商品の役割を分けます。
2. ベンチマークを確認する
「外国株式」でも、MSCIコクサイ、S&P500など投資対象は異なります。
3. 為替ヘッジの有無を確認する
外国資産では、同じ「債券」「株式」でも為替ヘッジの有無で値動きの性格が変わります。
4. 同じ役割ならコストを比較する
指数や投資対象が近い商品が複数ある場合は、信託報酬に加えて総経費率も確認します。総経費率は交付目論見書に参考情報として載っていることが多く、対象期間がそろっていれば実質的な負担を比べられます。
5. 既存資産を本当に売る必要があるか考える
新規掛金の配分変更だけで目的を達成できるなら、無理に既存資産をスイッチングしない選択もあります。

私から補足します。「安い商品へ乗り換える」と「別の資産へ乗り換える」を同じ判断にしないことです。比較する条件をそろえてからコストを見る方が、目的を見失いにくくなります。
9. FAQ
Q1. 企業型DCでは一番信託報酬の安い商品を選べばよいですか?
必ずしもそうではありません。投資対象やベンチマークが違えば、コスト以外のリスクや値動きも変わります。まず資産クラスと指数を確認し、同じ役割の商品同士でコストを比較するのが基本です。
Q2. 信託報酬と総経費率は何が違いますか?
信託報酬は運用管理費用で、あらかじめ料率が決まっています。総経費率はこれに監査費用などの実際にかかった費用を加えて年率換算したもので、交付目論見書に参考情報として掲載されます。過去の実績値なので将来を約束するものではありませんが、実質的な負担を知る手がかりになります。比べるときは対象期間がそろっているかを確認してください。
Q3. S&P500とMSCIコクサイはどちらがよいですか?
どちらかが一律に優れているとはいえません。S&P500は米国株式、MSCIコクサイは日本を除く主要先進国株式が中心です。DC外の資産を含め、どの地域へどれだけ投資しているかも判断材料になります。
Q4. 高コストの商品は全部スイッチングすべきですか?
コスト差だけでなく、投資対象が同じかを確認します。今回、外国株式は同じMSCIコクサイ系への低コスト化としてスイッチしましたが、外国債券から国内債券への変更は資産クラスが変わるため実施しませんでした。
Q5. 企業型DCの商品はどのくらいの頻度で見直しますか?
頻繁な売買は必要ありませんが、勤務先の商品追加、信託報酬の改定、制度改正、自分の資産配分の変化などがあったときは、商品一覧を再確認する意味があります。
10. 参照文献・関連リンク
- 大和アセットマネジメント「DCダイワ外国株式インデックス」交付目論見書
- 三井住友DSアセットマネジメント「三井住友DS・外国株式インデックス年金ファンド」交付目論見書
- ブラックロック「iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(DC)」交付目論見書
- 三井住友DSアセットマネジメント「三井住友・日本債券インデックス・ファンド」交付目論見書
- 大和アセットマネジメント「DCダイワ外国債券インデックス」交付目論見書
- 三井住友DSアセットマネジメント「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」マンスリー・レポート
- 関連記事:確定拠出年金入門③
- 関連記事:投資信託ポートフォリオ2026
おわりに
今回の見直しで一番大きかったのは、「新しいおすすめ商品を見つけた」ことではありません。
マッチング拠出を増やす前に商品一覧を棚卸しし、同じ役割の低コスト化と、資産配分そのものを変える判断を分けたことでした。
外国株式は、同じMSCIコクサイ系でより低コストな02015へ整理しました。一方、外国債券と日本株は既存分を残し、新規掛金の配分だけを変更しました。
企業型DCは長期運用だからこそ、頻繁に触る必要はありません。しかし、制度や商品ラインナップが変わったときまで見直さない理由もありません。
今回のケースが、ご自身の勤務先DCの商品一覧を久しぶりに開いてみるきっかけになれば幸いです。
それでは、良い資産構築ライフを!


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