
はじめに
こんにちは、【kanatoの資産構築研究所】のKanatoです。
先日、不動産担保付きのソーシャルレンディング案件を検討しましたが、最終的に見送りました。「埋まらない案件には理由がある」と判断した選択です。
SL(ソーシャルレンディング・貸付型クラウドファンディング)は、銀行預金と株式投資の中間に位置するミドルリスク・ミドルリターンの投資です。「高利回り」という言葉に惹かれて飛び込むのは危険で、案件を選ぶ目が問われます。今回は、私が実際に使っているチェックポイントを5つにまとめました。
1. 私のSL投資の現在地
まず私自身の実績をお伝えします。現在、AGクラウドファンディングやバンカーズ等の複数プラットフォームで運用中です。
AGクラウドファンディングでは不動産担保付き案件を中心に参加しています。詳細はクラウドファンディング投資状況レポートをご覧ください。

バンカーズ(旧クラウドクレジット)では国内・海外合わせて約10年・159本の運用実績があります。一方で、損失が出た経験もあります。詳細は別記事に記録しています。

成功も失敗も経験した上で、今回の5つのチェックポイントをまとめています。
2. SL案件選びで私が必ず確認する5つのポイント
① LTV(担保掛け目)——80%超はリスク域
不動産担保付き案件では、「LTV(Loan to Value)」——担保評価額に対する貸付額の比率——が最重要指標です。
たとえば担保評価額7億円の物件に5.67億円を貸し付ける場合、LTVは79.9%です。一般的に70%以下が安心ラインとされており、80%に近づくほど「担保を売っても全額回収できない」リスクが高まります。

補足いたします。老舗の不動産SLでは60〜70%台が標準的です。80%超では、不動産価格が数%下落するだけで担保割れが生じます。また先順位担保権の有無も必ず確認を。先順位があれば実質的な回収順位は後回しになります、事実として。
② 利回りと運用期間のバランス——「高利回り×長期一括」は要注意
利回りと運用期間はセットで判断します。「年率4.9%・28か月一括返済」という案件は、年率では一見魅力的でも、元本が28か月間拘束されます。同じ期間に「年率10%・12か月」の案件を2回運用できると考えると、期間コストとリターン効率の差は歴然です。私がある案件を見送った理由のひとつです。
元本が満期まで戻らない「満期一括返済」型は、途中でより良い投資機会が来ても動けないという機会損失リスクも含んでいます。「利回りが高い」という事実だけに引っ張られないことが大切です。
③ 借入人の財務状況——自己資本比率と収益性の両立
案件の重要事項説明書や案件詳細には、借入人(貸付先)の財務情報が開示されています。確認すべきは「自己資本比率」と「直近の収益性」の2点です。
不動産会社の場合、総資産に対して純資産が薄い(自己資本比率10〜15%程度)ケースは珍しくありません。問題は売上・利益が安定して出ているかどうかです。赤字続きの借入人への融資は、担保があっても慎重になるべきです。
④ 返済原資の確実性——「物件売却予定・具体的な計画なし」は警戒
元本をどこから返済するかは、案件の根幹です。重要事項説明書の「返済原資」欄を必ず読んでください。
注意が必要な表現は「担保物件の売却代金の他、他の金融機関等からの借入等を想定。具体的な予定はない」というものです。これは実質的に「2〜3年後に売れるか、借換えできるかは不明」という意味で、将来の不動産市況と金利環境に強く依存します。長期案件であるほど、このリスクは大きくなります。
⑤ プラットフォームの実績と案件規模——「なぜ埋まらないか」を考える
通常すぐに満額になるプラットフォームで、一定期間経っても半分も集まっていない状況は、それ自体がシグナルです。
「大型案件だから時間がかかるだけ」という解釈も成り立ちます。ただし、なぜ集まらないかを自分なりに分析することが大切です。利回り・期間・担保・借入人のどこかに、経験豊富な投資家が引っかかっている要素がある可能性があります。また、プラットフォーム自体の元本割れ実績・情報開示の透明性も、選定基準のひとつです。
3. 「見送り」も立派な投資判断
冒頭で触れた案件は、LTV79.9%・28か月一括返済・返済原資が売却または借換え想定という点が気になり、最終的に見送りました。案件そのものが危険というわけではなく、「今の自分のポートフォリオにとって最善ではない」という判断です。
SLの「見送り」は損失ゼロです。投資しないことで失うのは機会だけで、資本は守られます。「業者分散のために条件の悪い案件に入る」のは本末転倒です。そのプラットフォームに次回良い案件が出たタイミングで参加する方が理にかなっています。

ホー、kanato理事長!投資の世界では「何をしたか」より「何をしなかったか」が資産を守ることもありますぞ。バットを振らなければ三振もしない——待つことのできる投資家は、それだけで一歩先を行っていますな。
おわりに
今回の5つのチェックポイントをまとめます。①LTVは70%以下を目安とする、②利回りと運用期間をセットで評価する、③借入人の財務と収益性を確認する、④返済原資に具体性があるかを見る、⑤プラットフォームの情報開示と案件への市場の反応を読む——この5点を習慣にするだけで、案件選びの精度は変わります。
SLはローリスクではなく、ミドルリスクの投資です。仕組みを理解した上で適切なポジションサイズで参加することが前提です。次回以降も、実際の案件検討を通じた選び方をお届けしていきます。
それでは、良い資産構築ライフを!


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